起業し社長となった時、パートナーは専務であり部長であり一般社員です。
その中でも経営のパートナーの中心となるのはやはり経営スタッフでしょうか。
もう一つ重要なパートナーは奥さんです。
社長は会社の全ての責任を負い、それでいて孤独です。
それを精神的に支えるのは奥さんです。
会社を経営する時、パートナーである専務などの経営スタッフと相談しても、決断を下すのは社長です。
その結果の全ての責任は社長です。
その仕事は誰も代わりが出来ません。
ですから、専務から社長になった人が一様に、「専務と社長とは全然違う」と言います。
その責任の重さが全然違うのです。
最近、菅総理大臣の夫人菅伸子さんの「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」と言う本が売れているそうです。
私は読んでいませんから論評できませんが、題名だけみると大変違和感を感じます。
そう思う人は多いかもしれません。
総理夫人が一国の総理より強い意見を持っているような表現のある題名を見ると、まるで会社の社長夫人が、夫の会社の経営方針に関して、自分の考えを公表しているように思います。
夫人の意見が反映される会社はほとんどダメになっていきます。
以前読んだ本の中で、松下幸之助さんは社長業の責任の重さについて書いていました。
重要で誰にも相談できないような仕事が社長にはある。例え専務にさえ言えないことがある。
そんな時本音を言ったり、愚痴を言ったり、弱音を吐くことができる相手は奥さんだけ。
そんな愚痴や弱音を言った時、奥さんは黙って聞いてくれるだけでいい。だから自分の気持ちを本当に知ってくれるのは奥さんしかいない。
確かそのような事を書かれていた気がします。
だから本当に重要なパートナーは奥さんなのです。
その奥さんが会社の人事や経営方針に口を出すと、会社組織は意味がなくなり、会社は滅茶苦茶になります。
私の父も社長でした。今は引退しています。
父と松下幸之助さんを比較するのは大変のおこがましいですが、父と母の関係がそうでした。
父は馬車馬のごとく前を切り開いていく。
母はその後をきれいにしながらついて行く感じがしました。
夜遅く飲んで父が帰ると、父は「じゃありがとう」と言ってそのまま家に入ってきますが、母は送ってきてくれた人に頭を下げでお礼を言い、タバコやお菓子を渡し、見送りました。
ですからいつも家にはタバコやお菓子がパッケージされ、用意されていました。
今改めて考えると、会社を本当に支えていたのは母ではなかったかと思います。