本には稲盛和夫さんのことは勿論書かれていますが、それよりJALがいかにして変わっていったか。
組織として人として、従来の企業風土・概念・意識を変えていく過程での葛藤が書かれています。
倒産した時はJALような巨大企業が再建できると誰も思いませんでした。
それでも、その経営陣や社員達が如何にして再建を成功させていったか。
企業経営に参考になることが沢山書かれています。
私がその中で一番に感じたことは、トップが事業の目的と意義を明確にすることの重要さです。
そしてそれを末端社員まで徹底させる根気強い教育。
この本に植木社長へのインタビューが載っていました。
植木さんが執行役員になり、整理解雇等の諸問題に取り組んでいる時に心の支えになった言葉が3つあると言っています。
1つは「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」
2つ目は「大義を背負った時、人は強くなれる」
3つ目は「人間として何が正しいかで判断する」
会社のトップが社員に向け発信する言葉は分かりやすく、納得できるものでなければなりません。
往々にして頭のいい社長は理屈で説得しようとします。
社長が話す内容は、社長にとって都合のいい理屈の場合が多いです。
理屈が通っているように思うので社員は「分かりました」と言います。
でも、「理解」しても「納得」していません。
大切なのは「納得」させることです。
社員が「納得」できるのは、人間として正しいことを一生懸命しようとする社長の姿勢であり、社長が社員の幸せを考えていると感じた時です。
「JAL再生」に書かれていたのは、同じ目的に向かっていく中で、トップの言動や行動を社員が「理解」するんでなく、「納得」することの重要性です。
そこにあるのは「心」です。
トップの熱い心が社員を動かしていくのです。
宜しければ読んでみてください。