これは京セラ名誉会長稲盛和夫さんから教えられた大事な言葉です。
説明するまでもなく、人に尽くす心です。
反対は「利己の心」です。
今「利他の心」が大事だと言われるれることは、逆にそれが無い世の中だからでしょうか。
自分が如何に人生を楽しむか、如何にお金を稼いでリッチな生活が出来るかを求めるのは利己でしょう。
以前、司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」を読みましたが、そこには日本国民が欧米列挙に負けまいとして、「市井の人」として富国に協力している姿が描かれています。
そこには「利他の心」がありました。
戦後も、日本と言う国を復興するために、三等重役といわれる人達が会社を盛りたてました。政治家・官僚も国の復興に力を注ぎました。
私の好きな白州次郎さんもそうです。
城山三郎さんの「官僚たちの夏」にも通産省を舞台に日本の復興が書かれています。
「国の為」と言うとすぐ、軍国主義に結び付けてしまう人がいます。
私も戦後の学校教育の中でそのように教えられました。
でも、国の為に頑張るのは決して悪いことではありません
日本が元気な時は、皆が「利他の心」で頑張っていた時です。
「利他の心」ですれば「利己の心」より大きな力が出るのでしょう。
私が若い頃、お客さんの布団屋さんが大きなビルを建てました。その時、「どうしてそんなに儲けることが出来たのですか?」と聞いたところ、少し考え込んだ後、「お客さんのために一生懸命働いていたらそうなった」と言ったのを記憶しています。
「タライの水」の話を知っている方は多いと思います。
タライの水を自分の方に持ってこようとすると、逆に反対側に流れて行ってしまう。
タライの水を相手の方に向かって「どうぞ」と押し出すと、水は自分の方に帰ってきます。
この教えは利他と利己を表しています。
私はこの「タライの水」でもう一つ思うのです。
確実に自分に返ってくることを意図して、相手に水を押し出すというのも考えるれます。
見た目は利他ですが、実際は利己を目的としています。詐欺はこの心理を利用するのかもしれません。
物事全て単純ではなく、また人間の本能として利己をすべて捨てることはできません。
でも「利己の心」を薄くして、「利他の心」を抱くように生きてゆきたいものです。