父は現在92歳です。
自分では2代目だと言っていますが実質創業者です。
20歳そこそこで地方から札幌に出てきて、当初はコンクリートで瓦や便層などの製品を作りました。
その後木材店、家具工場、商事会社、ホテル等と会社の規模を広げてきました。
最近その父から教えられたことを思いだします。
私がまだ小学生の時だと思います。
父がら質問されました。
「お前が家具工場の社長であったとして、ある日品物を卸していたお店が倒産するといううわさを聞いたので、
そのお店に行き、製品を引き上げようとした時、その店の社長と奥さんが『それを持っていかれると明日から生活できない』と泣きながら言われた場合お前はどうする?」と聞かれました。
私は、「かわいそうだから半分置いて、半分持ってくる」と答えました。
父は即座に「ダメだ。相手が泣いても、わめいても全て引き上げなければならない。」と言いました。
その理由は「もしも、その店の社長達が可哀そうだから言って、商品やお金を回収しないと、お前の会社がそれにより倒産するかもしれないのだぞ。」と言うのです。
当時、私はその話を聞いて、会社が倒産するということは大変怖いことだなと言う思いしか残りませんでした。
それから数十年経って、私が経営に携わって、改めて思い返すと、あの時の質問は社長の責任の重さを教えてくれたように思っています。
いざとなれば、社長として情に流されず、人でなしと言われても、身体を張って、会社を守り、従業員を守らなければならない覚悟を教えられたように思います。
父は当時同じような事を経験していたのでしょう。
勿論、50年近く前のことなので、今の時代と違う環境ですが、社長の心構えは変わらないのかと思います。
また、これからも私のブログの中で、父から教えられた事を書いてみます。