今、西アフリカを中心にエボラ熱が拡大しています。
その中で、ある「治療薬」が注目されています。
その「治療薬」は富山化学工業が創ったインフルエンザ治療薬「アビガン」です。
ギニア政府は今月内にも、「アビガン」を実際の患者に投与する臨床試験を始め、12月にはその結果が発表されるとの報道がありました。
正式に認められれば世界初の「治療承認薬」となります。
この富山化学工業は富士フイルムの傘下にあります。
日経のネットニュースで詳しいことが書かれていました。
富山化学工業は元々は大正製薬の傘下でした。
当時赤字会社であった富山化学工業を富士フイルムは1300億円で買収したのです。
その富山化学工業が創った「アビガン」が世界中から注目され、親会社である富士フイルムの株価はうなぎ上りです。
こうして見ると、買った富士フィルムと売った大正製薬の動きについて考えさせられることがあります。
「アビガン」は今年の3月にインフルエンザ薬としての製造販売承認を受け販売されました。
「アビガン」は他のインフルエンザ薬とは仕組みが違います。
タミフルなどの従来の薬は、ウイルスを細胞内に閉じ込めて増殖を防ぎます。
それに対して「アビガン」は細胞内でウイルスが遺伝子を複製すること自体を阻止します。
富士フイルムは「アビガン」のところを、研究段階から注目しました。
「アビガン」という薬に対する富士フイルムと大正製薬それぞれの経営者の認識判断の違いが「金の卵」を手にした会社と手放した会社の違いになってきました。
報道によれば製薬とは門外漢だった富士フイルムが成功したのは、明確なコンセプトを持っていたためのようです。
富士フイルムは製薬分野に進出する時、既存の大手製薬会社に勝つため、「がん」「認知症」「感染症」の3大分野に絞り、他にはない仕組みで治療する医薬品開発を狙ったそうです。
「素人」や「門外漢」は参入するその業界の「常識」や「習慣」等にとらわれず、素直な目で見ることが出来ます。
この「アビガン」が正式に治療薬として認識されれば、大きな朗報となるでしょう。
「自分が一生懸命苦労して経営していた会社が、別の人が経営したとたん業績が上がることはよくある」
これは昔に父が話してくれた言葉です。
納得します。