先日、「新国立競技場建設現場で働く社員が過労が原因で自殺」というニュースが流れていました。
ただでさえ限られた短い工期の中で行われる作業にもかかわらず、設計変更などで現場にしわ寄せが来た結果、残業が月200時間近くあったと言われています。
私共の会社は家具を作っています。
コントラクト家具といわれる家具が主です。
コントラクト家具とは学校や病院、図書館などの公共施設や商業施設などで利用される箱物や椅子・テーブル等のことです。
この家具の納入は躯体工事が終了した工事最終時期になります。
建物の内部意匠についてはオーナー側が一番気にするところで、その最終決定までは変更変更の繰り返しです。
一方、家具の納入日は決められています。
決定遅れのしわ寄せは私共の会社に来ます。
ほとんど制作期間がない中、残業をしてでも完成させることになります。
工程通りにオーナー側が決定していけばいいのですが、そうはいきません。
意匠決定が決められた日より大幅に過ぎてもオーナー側は責任を負いません。
一度決定したことも平気で覆します。
設計者はオーナーの意向をそのまま建築会社に指示します。
建築会社は下請けに指示し、工期だけは変わらない旨伝えます。
負担は下請け会社、そしてその従業員に来ます。
断ることが出来ません。
出来ないと言えば他社に仕事が取られます。
今回新聞記事になった件も、亡くなった社員の所属会社1社では何も出来ません。
仕組みそのものを根本から変えなければ解決できない。
根深いモノがあります。