「孤高の人」という言葉を見て、新田次郎と結びつきますか?「週刊ヤングジャンプ」を思い浮かべますか?
それとも全然わかりませんか?
この小説は加藤文太郎という登山家を主人公にした新田次郎さんの山岳小説です。
私は学生時代に小説として読みましたが、今の若い人は漫画で読んだのかもしれません。
私はこの小説を読んで山に憧れ、山登りを始めました。
それもこの主人公を真似て1人で。ただし、低い安全な山ばかりです。
加藤文太郎は常に1人で山を登ることを信条として、毎日の訓練の為、会社に行く時も石を入れたリュックサックを背負って歩いて通いました。
彼は当時の登山会からは異端児扱いされていましたが優れた登山家でした。
孤独を愛し、常に単独行で山を登っていた彼は、最後に知人と一緒に雪山に登りました。
そして、初めてパーティを組んだその登山で遭難し、亡くなりました。
「孤高」とは辞書で調べると、「俗世間から離れて、ひとり自分の志を守ること。また、そのさま」とあります。
最近私の父を見ているとフッとこの言葉が浮かびました。
父は20代から事業を始め、それなりのグループ会社を作り上げて来ました。
子として見ていると、父は常に仕事ばかりで、子供達を遊びに連れて行ってくれたことは少なかったように思います。
仕事の上では、社長としての判断が求められる時は、いつも自分の信条を押し通してきました。
その関係かもしれませんが、父の周りには仕事関係の人がほとんどで、親友という人もいなかったと思います。
社長は孤独であり、時として情に負けない、厳しい決断をしなければならないこともあったはずです。
そんなことの積み重ねで、自分とそれ以外に人達との間に距離が生まれていったように思われます。
現在92歳になります。半年前まで会社に来てました。
勿論現役ではありません。
最近は会社に行くことが生甲斐でした。
会社のスタッフは、誠にありがたいことに、「会社に出てくることが元気の基」と言ってサポートしてくれてました。
その父も最近は一気に元気を無くして、寝ていることが多くなりました。
そんな父を見ていると「孤高の人」という言葉が浮かびました。
俗世間から離れてはいませんでしたが、自分の生き方を貫いた生き方に共感しています。
最近元気がないのが寂しいです。