稲盛さんが書いています。
「何かを決めようとする時に、少しでも私心が入れば判断はくもり、その結果は間違った方向へ行ってしまいます。
人はとにかく自分の利益となる方に偏った考え方をしてしまいがちです。
みんなが互いに相手への思いやりを忘れ、「私」というものを真っ先に出していくと、周囲の協力も得られず、仕事がスムーズに進んで行きません。
また、そうした考え方は集団のモラルを低下させ、活動能力を鈍らせることにもなります。
私たちは日常の仕事に当たって、自分さえよければという利己心を押さえ、人間として正しいか、私心をさしはさんでいなないかと、常に自問自答しながら物事を判断していかなければなりません。
端的に言うと「自分というものを無にして物事を考える」、もっと極端に言えば、「自分を犠牲にして物事を考える」ということ、これば、私の言う「私心のない判断を行う」という意味です。」
稲盛さんはよく言う言葉があります。「動機善なりや私心なかりしか」
第二電電(現在のKDDI)など、多くの事業を始める時、常に繰り返し自問自答したそうです。
結果自分に都合のいい判断をせず、客観的に正しい判断をすると、それが物事とを成功せることになるのです。
一方人間は本能として自分を守ろうというものがあるのも事実です。
その本能を押さえて、自分というものを除いて考えた時に相手も喜び、自分も喜ぶという最良の解決法がスッと見つかる時があります。
稲盛さんはこの項目の最後、経営者向けに「トップに立つ者が私心に満たされ、間違った判断をすれば、会社の将来に大きな禍根を残すことになります。」と言っています。
経営者に必要な能力の一つに、自己管理能力があります。
経営者が起業の時頑張って、会社を大きくすることに努力した結果、会社が安定すると、それを自分の所有物のような気持ちになり、公私混同が始まり、業績が傾いてきた事例は大変多いです。
「私心のない判断をする」は経営者の重要な心構えです。