「進むべきか引くべきか」「始めるべきか止めるべきか」、事業を展開する時、最終判断は二者択一で決めなければならないことばかりです。
その折衷案はありません。
事案に対して、社内で色々な議論を戦わせて可能性を探り、さまざまな条件の中で最終決めるのは社長です。
社長の究極の仕事は会社のトップとして二者択一の決断を下すことです。
極論を言えば社長の仕事はそれしかないのかもしれません。
全ての責任を負って決断を下します。だから孤独なのです。
時折、それを避け、部下に決断を丸投げする覚悟のない社長がいます。
社長失格です。
このように、二者択一で決めなければならないのは、最終判断です。
ところが日常の活動、それは日常生活の中でも仕事上でもそうですが、上記とは逆になりますが、安易に「白か黒」か、「右か左」かを二者択一で決めてしまうことが多すぎるようです。
あの人は良い人、あの人は悪い人で人を判断する人がいます。
二者択一で裁判官の判事のように有罪・無罪の判断しかしないのです。
そして人はそのような思考に慣れてしまうと複雑な多様性のある思考が出来なくなります。
単純回路、短絡回路だけになってしまいます。
また、現代のように数多くの情報が氾濫し、情報が多過ぎてしまうのも、それの原因かもしれません。
現代社会では安易な二者択一でしか考えなくなってきているように思い、少し危惧感を思えます。
それを防ぐには自分で意識して「二者択一以外の道はないか」と考えるしかないのです。
例えば道が二つに別れていたら右と左以外に進む方法はないかと考えます。そうすると右と左の間の藪の中を通った方が近道かもしれないのです。
人を「好き嫌い」で「いい人か、悪い人か」と見るのでなく、別の面からみると、自分と同じで、普通の人だと判断出来ます。
頭を一捻りするクセをつけるといいのです。
この「二者択一思考」と「多様性の思考」を共に身に付けなければならないのは社長・経営者なのだと思います。
二つの思考方法をその場に合わせて使い分けて行くことも身に付けなければならない能力です。