昨日からハーバード大学教授マイケル・サンデルさんの「これからの『正義』の話をしよう」を読み始めました。
結構厚い本でいつ読み終わるか分かりませんが面白そうです。
読んで最初に出てきた「正義」の話は2004年に発生したハリケーンにより被害を受けたフロリダで起きたことを取り上げています。
ハリケーン直後、あるガソリンスタンドでは1袋2ドルの氷が10ドル、小型の家庭用発電機が通常150ドルで売っているものを2000ドルで売っていました。
避難して入ったモーテルが、いつもは1晩40ドルが160ドル請求されました。
これらの商行為に対して、マスコミから「他人の苦境や不幸を儲けの種にしている」と非難されました。
しかし一部の経済学者はその非難を検討違いと論じました。
その根拠は、「価格は需要と供給によって決まる」と主張し、公正な価格などは存在しないというものです。
その上、氷や飲料水、発電機などが高くなったおかげで、こうした商品やサービスの消費が抑えられた。
また遠隔地の業者にとってハリケーン後、最も必要とされている商品やサービスを提供する機会が増えると言います。
その論理の中で市場価格の公正さを訴えています。
アメリカでは、不当に高く売っていると非難する人と、市場価格は当り前と思う人が混在してます。
でもどちらかというと、例え災害時でも、市場価格は高くても公正な価格だと言う人が多いようです。
一方、日本で起きた今回の大震災後、モノの不足は取上げられましたが、価格が異常に高くなったという報道は無かったように思います。
それなりに納得する値段で売られていたようです。
ここに日本人とアメリカ人との価値観の相違がみられるのではないでしょうか。
「正義」という言葉も違ってくるのかも知れません。
アメリカ人の価値観が特別というより、日本人の価値観の方が他の国と違っているのではないでしょうか。
「これからの『正義』の話をしよう」という本を読み始めたばかりですが、改めてこれほど価値観が違っている国同士が対等に商売をする大変さが改めて分かります。
アメリカなどの海外の国々は、大震災に遭遇した日本に、それなりの人道的援助はしてくれますが、この弱みに付け込んで商売をすることにいささかも躊躇することはないでしょう。
日本製品に取って代わる製品を出し、日本のシェアを奪っていくでしょう。
日本で必要とするモノも、これからはそれなりの高い価格で提供してくるかもしれません。
それも彼らの概念では「正義」なのでしょう。
厚い本なので、いつ読み終わるか分かりませんが、面白そうな本です。