これは人の性格にもよるのかもしれません。
一般的に人の意見を聞く耳を持つのがいいと言われることが多いです。
「人には口は1つ、耳は2つある」
だから人の話を聞くことが大切だというのを聞いたことがあります。
私も暫くは「そうだな」と思っていました。
でも最近疑問に思っています。
社長は社内会議ではあまり意見を言ってはいけません。
社員の意見を聞いて、最終判断をするのが社長であって、自分が喋っては社員の本当の意見が出てきません。
社長は聞く側に立たねばなりません。
しかし、社員等が1人の参加者という立場であれば違います。
「物分かりが良い」ような顔をして、意見を聞くだけでは参加する意味がありません。
また「おかしい」と思うことがあるのに、「この辺で意見を言うのはとどめておこう」と思うのもおかしいです。
それは「利己の心」があるからだと思うのです。
これ以上追及すると嫌われるからという気持ちは、相手に対する気配りのようですが、保身から出る態度です。
「嫌われたくない」「しつこいと思われる」等、自分が大事だから出てくるのです。
勿論、言い方も大切です。
反発されるような言い方で、喧嘩を売る人がいますが、それは自己顕示欲が強い人でそれもやはり利己です。
相手に分かってもらう言い方をして、自分の主張をはっきり述べることが大事です。
この「意見を言う」という話で思いだすのが、「葉隠」に書かれた話です。
会議の場でその間違いを指摘できなかったけれど、会議の後、如何に相手にその間違いを判ってもらおうという状況が書かれています。
「葉隠」は江戸時代の武士社会における心得を書いたものです。
以前にもにもご紹介したかもしれませんが、そこには「人に意見を言う時は相手が聞いてくれるよう工夫をするべきである」と書いてあります。
例えば帰り道に待ち伏せをして、その人が来たら偶然に会ったそぶりをし、一緒に帰る道すがら「そう言えば、先ほどのの〇〇は△△した方がいいと思うよ」とそれとなく自分の意見を言うのです。
相手が素直になっている時に言うことで、聞いてくれることがあると言うのです。
本当に相手のことを考える「利他の心」があれば相手も判ってくれます。
人に意見を言うこと1つとっても、昔から苦労しているのですね。