69項目の「採算意識を高める」についてです。
稲盛さんは次のように書いています。
「京セラでは、アメーバ単位で[時間当たり採算制度]を実施し、職場での仕事の結果が誰にでもわかるようになっています。
社員1人1人が経営者の意識を持って、どうすれば自分達のアメーバの[時間当たり]を高めていけるかを真剣に考え、実践していかなければなりません。
常日頃、鉛筆1本やクリップ1つにいたるまで、ものを大切にしようと言っているのはこうした思いの表れです。
床にこぼれ落ちている原料や、職場の片隅に積み上げられている不良品が、まさにお金そのものに見えてくるところまで、私たちの採算意識を高めていかなければなりません。」
「採算意識」とは「原価意識」のことです。
「採算を合わせる」ということは即「利益を得る」という意味にとられがちですが、そうでななく、常に「原価を考える」ということであって、このことが採算を向上させる鍵になるのです。
大切なのは仕事をしていく中で、原価がどうなっているかを考えることで、それをせずに経営がうまくいくはずはないのです。
そのことを稲盛さんはレストランで食事した時を例にして説明しています。
「ホテルのレストラン食事をするとします。
レストランの中は閑散としていて、何人もウエイトレスやウエイターが手持無沙汰で立っています。
数少ないお客様が千円から千五百円位のを食べているようだと、頭の中ですぐ計算します。
従業員の人件費、レストランの売上を計算し、『これじゃ採算は合わないな』となります。
このように自分の仕事は勿論、色々な場面で一瞬一瞬で原価意識を持って物事を考えることが出来るか、それともただ漫然と見ているだけか、これによって経営は大きな違いが出て来ます」と言っています。
稲盛さんが書かれたような事は私も良くします。
居酒屋、ラーメン店、カレー店に入った時、そこの平均客単価と席数・回転率等を計算し、材料費、人件費、テナント料などを差し引いてどの程度利益があるかを大まかに計算します。
もしも採算が合わないとすれば、なぜ長年営業することが出来るのかを考えてしまいます。
もしかしたらアパートなどの別の収入源があるからなのか等とも想像します。
また、私がこの店を任せられたらどのようにして改善するかも考えます。
店構え、雰囲気、サービス、メニュー改良等によってどのように売上が伸びるか考えます。
好き勝手な考えが出来るので楽しいです。
料理が出てくるまで、このように考えるだけで頭の体操になり、経営のヒントを得ることが出来ます。