その方に気が取られている内に「金融円滑法」の再延長になっていました。
4月1日から来年まで延びたのです。
以前にこのブログで「金融円滑法」について批判的に書きました。
今回の再延長で、本来整理されるべき企業が生き延びて、ただ債務を増大するだけにすぎないと私は考えています。
日本リサーチ総合研究所のレポートがあります。
昨年の9月現在で「金融円滑法」による返済猶予を受けている債権件数は累計で228万件、金額で63兆円になっています。
利用している企業の半数は2回以上利用しているリピーターです。
「金融円滑法」を利用しても企業が倒産した件数は、2011年度で194件、前年の23件に比べ急増しています。
その倒産原因のほとんどが「販売不振」です。
企業の根本に原因があり、単に資金繰り緩和で解決できることではないようです。
「金融円滑法」が施行された時、期待される2つの役割がありました。
1つには優れた技術やノウハウを持っている企業が、市場環境等の急激なショックで一時的に資金繰りに陥った中小企業救済
2つ目は中長期的な視点から経営改善できるようにコンサルティング指導をすること。
この1つ目の役割は、市場環境の一時的に急激なショックを受けた中小企業救済のためです。
決して、その企業固有・個別の技術力低下や競争力の低下などの「構造的リスク」に対してではないはずです。
しかし利用の半数がリピーターという実態は、「構造的リスク」を抱えている企業の利用がほとんどということを示しています。
また金融機関にとってこの円滑法は、債務者の区分を「不良債権先」を「正常先」として扱ってよいとするもので、銀行は貸し倒れ引当金を積む必要がないのです。
そのためその融資先企業の「構造リスク」が改善されないまま、「金融円滑法」の再延長は「隠れ不良債権」の増加につながることになります。
そうなるとこの円滑法が切れた時、恐ろしいことになります。
自見金融担当大臣は再延長は今回限りと明言しています。
そうなると2009年始まった金融円滑法は来年3月に切れるまで、起こるべきだった企業倒産が一気に起きることになります。
それは新たな社会不安を起こすことになるかもしれません。
そしてその場合、信用保証協会付きの融資は代位弁済されますが、それはすべて財政負担、国民の負担となってきます。
このように見てきますと、国民新党の亀井さんが中小企業救済のためと思って強引に始めたこの法案は、負の増大を招いただけなのかもしれません。
つくづく「小善は大悪に似たり」そのままのとの思いがします。