稲盛和夫さんが大分以前に話された、起業家についての考え方を紹介します。
「ベンチャービジネスを官民挙げて支援するというムードを、むげに悪いとは言えません。しかし、日本はこれまで何が何でも官主導でやってきて、それが悪弊になってきている。規制緩和で仕事がなくなってきたからといって、役所がベンチャービジネスを育成しようと言うのは、お節介だ、放ってもらいたい気持ちがあります。
通産省や地方自治体が建物を用意し、融資制度をスタートさせ、技術開発は、県などの研究所が面倒を見るといった、至つくせりの状態が果たして良いものなのかと思います。ベンチャーキャピタルで大切なのは、最終的に起業家としての人物の評定なのです。
どんな事業でも、人がやるものです。ところが「人材育成は可能か」と聞かれると、疑問です。経営の天分を持っていない人を教育するには限界があります。結局、経営者として、希有の才能を持った人物を発掘することがベンチャーキャピタルの仕事なのです。
ベンチャービジネスの旗手は、シケで大荒れの海に船出するようなもの。無利子・無担保といった温室育成で育つでしょうか。その程度の人たちでは成功の確率は少ないと思います。
これまで日本では、政府が援助して株式公開までたどりついたベンチャービジネスなどないでしょう」
私も稲盛さんの考え方に賛成です。至り尽せりの環境を作ってもらっての起業。
そのような起業の心構えでは、事業の成功は厳しいものです。自分の足で立ち、歩き続けなければならないのです。人の助けをあてにしては事業は成功は難しいのです。
「シェアオフィス」に起業家が集まって起業しようとしても、事業は成功しません。
「社長ごっこ」「起業ごっこ」で終わってしまう人の、なんと多いことか。
自立できる事こそが起業の第一歩です。