昨日はサービス業にとって大切なのは、「気配り」「心配り」そしてその上の「心に添う」ことと書きました。
その「心に添う」について具体的な話をします。
東京のある有名なホテルのレストランでのことです。
そのレストランによく食事にこられていたご夫婦がいました。
とても仲が良く、そしてレストランのスタッフに対しても優しい方達でした。
ところが、ある時からお二人はレストランに来なくなりました。
「どうしたのだろう?」とレストランのスタッフ達は、急に来られなくなったことを気にしていました。
半年くらい経った頃でしょうか、久しぶりに来られたのですが、来られたのはご主人だけでした。
レストランのスタッフが「奥様はどうなさったのですか?」と聞くと、半年ほど前に亡くなったとのことでした。
「今日は妻を偲んで、妻が好きだったこのレストランに来ました。」言います。
そして徐に胸のポケットから奥様の写真を出し、テーブルの上に置いて、食事をされました。
食事をされた後、「また来ますね」と言って帰られました。
しばらくして、またそのご主人は食事に来られました。
そした、また奥様の写真をテーブルの上に出された時、レストランスタッフの一人が写真スタンドを持ち寄り、テーブルの上の写真をその上に飾りました。その方が奥様の写真がよく見え、一緒に食事できると思ったのです。
もちろんご主人は驚くと共に喜び、そのスタッフの優しさに感謝しました。
そのスタッフの行為こそが「心に添う」サービスなのです。