昨夜10時からは始まった、NHK「歴史秘話ヒストリア」の題名は『いつだって負けずギライ~葛飾北斎 横町のオヤジは世界一』でした
興味深く見ました。
葛飾北斎については皆さんも良くご存じでしょう。
北斎は90歳で亡くなったと言いわれています。
その晩年の言葉があります。
「天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得(う)べし 」と行ったと言われています。
毎日筆を取って描いているけれど、まだまだ上手くならないと、死を前にして嘆きます。
「天があと10年の間、長生きさせてくれたら、いや天があと5年の間、長生きさせてくれたら、必ず本物といえる画工になり得たであろう」と言って死んだのです。
その道を極めれば究めるほど、不十分さ未熟さを実感するということでしょうか。
この言葉を聞いて思い出した言葉があります。
江戸時代に武士道について書かれた本「葉隠」の中にあります。
現代文に訳されています。それをご紹介します。
「人間の修行には段階がある。
修行の初期ではものにならず、自分でも下手と思い、人も下手と思う。この分ではまだ用には立たない。
中の位は、まだ用には立たないが、自分の下手さも他人の不十分さもわかるようになる。
上の段になると、全てを会得して自慢も出きるし、人がほめるのを喜び、他人の不十分さを嘆く。こうなればものの用に立つ。
その上の上になると知らん顔をしている。そして人も上手だと見えることが出来る。だいたいのものがこの段階までである。
その上にもう一段飛び越えると、言うに言えない境地が広がっている。その道は深く入れば入るほどついに果てしもない無限の世界だとわかって、これで良しという思いも無くなり、自慢心も起こさず、卑下する心も無く進んで行く道である。」
北斎はこの「その上にもう一段飛び越えた境地」になっていたのでしょう。
この葉隠の文を読むと、今の自分はどの段階なのか、いつも考えさせられます。