今から何年か前に、建築物の耐震問題が起きました。
当時は設計の段階で不正が行われ 建て直しなどが行われました。
建築に関しての不正は偽装設計ばかりでなく、工事現場でも起きます。
元請けのゼネコンから不当に安い価格で請負う工事業者の中には手抜きをする会社もあります。
材料等はゼネコン指定があり、変えることは出来ませんが、工事人数を減らすことをします。
鉄筋工事では、鉄筋同士を番線と呼ばれる針金で結びます。
10カ所結ばなければならないところを、7本で済ましてしまいます。
コンクリートを型枠に流し込む時も、手を抜きジャンカ(空洞の様なもの)を作ってしまいます。
私の家の隣では昨年11月からアパート工事が始まりました。
今年の3月に合わせて完成するつもりだったのでしょうが、2月に工事がストップ。
「なぜ?」と思っていたのですが、先月の終り頃、工事会社の人が来ました。
折角、内装まで進んだ建物ですが、壊して建て直しするそうです。
理由を聞くと、1階のコンクリート部分の強度が設計の半分しかなく、震度6で倒壊するという検査報告があったとのこと。
確かに、その建物を良く見てみると、コンクリート部分にはジャンカはあるし、異物も挟まった状態です。
そして特にダメだったのはコンクリートそのモノです。
私は隣ですので、工事をしているのを毎日興味深く見ていました。
その1階部分のコンクリートを流し込む時、「アレッ!」と思ったのです。
12月末の雪の降る、気温零度以下の時にその工事をしたのです。
そして養生もしないでそのまま年を越しました。
私も以前は住宅会社の帳場として現場で働いていましたので分かりますが、コンクリートが固まる時、気温が低いと中で水分が凍上し、コンクリートがボロボロになってしまいます。
冬場の工事では事前に足場を組んでブルーシートで囲みます。
ジェットヒーターなどを使って、その中にあるコンクリートが零度以下にならないようにします。
北海道で冬に家を建てる時の常識です。
ところがこのアパートはそれをしない。
私がそれを見た時、「今はコンクリートの性能が良くなって、養生などしなくてもいいのかな?」と思っていました。
でもやっぱりダメだったのです。
そのことをたまたま私の家に来た施主会社の人に言ったところ、建築検査会社依頼をし調査したのです。
結果、先ほどのように耐震性がないことが分かりました。
今回はたまたま施主が分かって調査を入れましたが、普段はそんなことしません。
今建物を壊しています。
勿体ないです。何千万ものの損失です。
今はデフレ時代。
建築ばかりでなく、色々ところでコスト削減という名目で手抜きが起きていると思います。
考えなければならないことは、自分の財産を守る為にも、買う時は「信用」というものが重視することです。
生産者側も将来、劣悪品の代名詞がデフレ時代に作られた製品「デフレ製品」というレッテルが張られないようにしなければなりません。
また、こんな時代だからこそ、信用を重視する会社が将来に向かって生き残れると信じています。