昨日、会社の女性社員から「書類を整理していたら会長が書いた文章が出て来ました」と手渡されました。
父は2年前に93歳で亡くなりました。
その文章は「創業の思い出」という題名で書かれています。
24歳の時、父親(私の祖父)から「親元から離れて事業の稽古をしてみよ」と言われてから、苦労して創業していった姿が書かれています。
読んでその中で特に考えさせられたことがありました。
父は当初は「セメント瓦」の会社を創業しました。
大変な苦労をした末、初年度から多くの利益を出しました。
今で言うと1億円近くになったようです。
父は喜び勇んで帳簿一切を風呂敷に包んで父親のもとに報告に行きました。
どんなに喜んでくれるかと思って帳簿を見せ報告したところ、父親はそれに目もくれず「困ったなア」と言って頭を抱え込みました。
その姿に私の父は困惑しました。
後で分かったことですが、父親は当時としては驚異的多額な利益が若い経営者を慢心させ、経営を甘く見ることを心配した為だったのです。
言葉に出さなかったけれど、「おごるな!」と諭したのです。
このやり取りを読んで、「多額の利益を出した父も凄いけれど、その父親(祖父)も凄い。」と思います。
自分の身内をほめるのはおかしいですが、素直にそう思います。
残念ながら父が書いたこの文章は途中で終わっています。
父の経営経験を書いた文章は私の教科書です。
探せばまた出てくるかもしれません。
父は死んでからも色々な形で教えてくれています。