このことについて稲盛さんは次の様に言っています。
「目的を持って真剣に意識を集中させることを有意注意と言います。
私たちはどんな時でも、どんな環境でも、どんな些細なことであっても気を込めて取り組まなければなりません。
最初は非常に難しいことのように見えますが、日頃、意識的にこれを続けていると、この有意注意が習慣になってきます。
そうなれば、あらゆる状況下で気を込めて現象を見つめるという基本が出来ていますから、何か問題が起きても、すぐにその核心をつかみ、解決出来るようになります。
物事をただ漫然とやるのではなく、私たちは、日常どんな些細なことでも真剣に注意を向ける習慣を身に付けなければなりません。」
この「有意注意」は意識して意を注ぐという意味です。
反対語の「無意注意」は、どこかで音がしたから反射的にフッと振り返るような意識の使い方です。
この「有意注意」という言葉は稲盛さんが中村天風さんから「研ぎ澄まされた鋭い感覚で迅速な判断をするためには、どんなに些細だと思えるようなことでも、常に真剣に考える習慣を付けなければならない」と教えられたそうです。
私の知っている経営者はこの「有意注意」の教えを実践しています。
彼は人の話を聞く時は、常に意識を集中して、身体を前のめりになって聞きます。
会社で部下と取り留めのない話を聞く時も、前のめりになって真剣に聞きます。
そうすると最初は大変疲れたそうです。
でも最近やっと習慣的に出来るようになったようです。
このように「有意注意」を習慣付ければ経営者にとって大きな力になります。
そのような経営者を稲盛さんは「どんな些細なことでも、ど真剣に考えるような人は、感覚が研ぎ澄まされていますからいつでも迅速に、的確な判断が下せるようになっています。ですから、問題を聞いた瞬間に『あ、それはこうすればいい』と分かるのです。』と言います。
優れたトップには自然とこの「有意注意」を身に付けています。
例えばある会社で、トップの自社工場視察があった時、事前に工場を清掃し、整理していても、トップが工場を巡回すると簡単に問題点を見付けたり見抜いたりします。
私もこの「有意注意」という言葉を大きな紙に書き貼っているのですが、意識しないと「無意注意」の状態になっていることに気付きます。
私も改めて今後、より意識して生活してゆきます。