その内容は「『デフレの正体』を読んで」でした。
この本は藻谷氏が書いてベストセラーになり多くの人が読まれていると思います。
この中で特に注目したところをご紹介したいと思います。
この本の副題は「経済は人口の波で動く」です。
藻谷氏はこの副題のように、日本経済低迷の大きな要因は「高齢者人口の激増」と「生産年齢人口の減少」と指摘しています。
「生産年齢人口」とは15歳から65歳までの人口を言います。
例えば首都圏1都3県では、2000年から2005年の間に106万人も人口が増えています。
しかし生産年齢人口は最大22万人減少しています。
人口が増えているのに生産年齢人口は減少しているのです。
一方この間に65歳以上は118万人増加しています。
2000年から2005年の間の全国の65歳以上の増加は367万人ですから、3人に1人は首都圏民です。
首都圏では「生産人口の減少」と「高齢者の激増」の同時進行が起きています。
東京都だけを見れば「生産年齢人口」は1万人増加していますが、しかし65歳以上の増加は39万人。
1万人の増加は65歳以上39万人増の前に飛んでしまいます。
「生産年齢人口」は2000年から2005年の間、実数での減少日本一なのは大阪府です。その次が北海道3番目は埼玉県。
日本で一番「65歳以上の高齢者」が増えているのは東京都。
日本で一番「生産人口」が減少しているのは大阪府です。
なぜ高齢者が増えることが経済的に問題なのかというと、高齢者はお金を使わないところにあります。
ある程度のものは所有しまたそれほど贅沢はしない世代です。
それでいて日本の金融資産の80%近くは60歳以上の世代が持っていると言われています。
外国から稼ぐ金利配当が、外国に支払う金利配当を超えた分を所得黒字と言います。
この所得黒字はバブルの頃は3兆円程度でした。それが2007年は16.3兆円と5倍以上に増えた。
その多くは輸出企業とその企業の株主になっている高齢富裕層の財布に集中しています。
日本では地域格差と言われていますが、世代格差の方がより問題だと思います。
それでいて高齢者は弱者のように扱われています。
身体的には弱者かもしれませんが、金銭的には弱者世代ではありません。
勿論、高齢者にもお金がない人もいます。でもそれはどの世代でも格差はあります。
藻谷氏も書いていますが、日本で今必要なのは、高齢世代から若い世代への富の受け渡しが行われなければなりません。
このような状況がありながら、北海道の多くの市町村では、首都圏から退職者の移住計画を進めています。
しかし、一時的に人口が増えても、その退職者はすぐに高齢者になり、将来は福祉介護の対象者になります。
その分市町村の負担は増えます。
それでいながら、その移住者はほとんど税金を納めません。現役の時は首都圏で地方税を納税したでしょうが、退職後はしません。
将来自治体の負担になるのがわかっていながら、目先の人口増加だけに目がいっているように思えます。
明日はこの続きとして、高齢者の激増によって社会的にどのよう影響を与えるのか、またこの「デフレの正体」から抜粋したいと思います。