皆さんは「マキャベリスト」という言葉や「君主論」という本をご存じでしょうか。
少し年配の人なら若い頃読んだかもしれません。
10月にNHK教育でマキャベリの「君主論」を取り上げていました。
それを見て、読んでみようと興味を持ちました。
私の若い頃もマキャベリの「君主論」は仲間の話の中に出てきましたが、読もうという気がしませんでした。
「目的のためなら手段を選ばない」という考えが、若い頃の私は反発を覚えて嫌っていました。
マキャベリを信奉する者をマキャベリストと言います。
権謀術数主義者という意味と同意語になっています。
マキャベリとは15世紀末から16世紀初頭に活躍したイタリアの外交官で、「君主論」を書きました。
ノンキャリア外交官だったマキャベリが、当時の権力者へ向けた就職のための論文だったと言われています。
現在もこの「君主論」を愛読書にしている経営者や政治家も多いそうです。
私はこの「君主論」はまだ読みかけですが、気になる言葉があります。
「残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらが良いか」についてです。
マキャベリは、始めに「君主は慈悲深く、残酷でないという評判を得るようにしなければならない」と言います。
しかしこの慈悲深さを誤用してはならないとも言います。
「思慮と慈悲心とによって自らを抑制するようにし、あまりに他人を信用して不用心になったり、あまりにも他人に不信感を抱いて耐えがたいような存在になったりしないようにするべきである」
そして「恐れられるより愛される方が良いか、あるいは反対か」と問うています。
それに対して「両方であることが望ましいと答える人がいるが、それは難しい。
したがって、両者のうちどちらかが良いかとなれば、愛されるより恐れられる方がはるかに安全である」
この文章を読んだ時に思ったのが稲盛さんが良く言われる「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉です。
最初は「真・善・美」を大事にする稲盛さんと「目的のために有効ならば、手段を選ぶべきでない」と言う権謀術数主義のマキャベリは正反対のように思いました。
全く逆の行動をとる人かと思っていたのですが、もしかしたら考え方は似ているような気もします。
2人を比較して読んでみようと思っています。
「会社を倒産させないためには手段を選ばない」というところは現代の経営でも重要なところです。
「君主論」は面白そうです。