京セラフィロソフィ勉強会5項の「知識より体得を重視する」について書きます。
「『知っている』ということと『出来る』ということは全く別です。
たとえば、セラミックを焼成する時の収縮率の予測1つを取ってみても、この事実はよく分かります。
文献などで得た知識に基づいて、同じ条件で焼成を行ったつもりでも、実際に得られる結果はその都度違ってくるということが良くあります。
本の上での知識や理屈と実際に起こる現象とは違うのです。経験に裏打ちされた、つまり体得したことによってしか本物を得ることはできません。
このことは営業部門であれ、管理部門であれ全く同じで、こうしたベースがあってこそ、初めて知識や理論が生きてくるのです。」
稲盛さんは続けて言います。
「専門家を雇ったりする時がありますが、専門家の言うことも知識として言っている場合と、実体験を通じて行っている場合と、分けて聞かなければなりません。」
確かに私の経験でもあります。
経営コンサルタントと称する人が、本当は経営のことは学問、知識でしか知らず、実際に経営したことが無い人がどうして、社長の孤独や苦しみを知ることが出来るのかと思う時があります。
中小企業の社長は銀行から借り入れをすれば、連帯保証人にならなければなりません。
会社にもしもののことがあれば、会社ばかりでなく自分の全財産も差し押さえられるかもしれないのです。
そのような身体を張って経営をする社長に経営指導する人はそれなりの経験がなければ説得力がありません。
このような事を書くと支障があるかもしれませんが、私が疑問に思っている事があります。
インキュベーションマネージャーという仕事があります。
その人達は起業家を支援し指導するのが仕事です。
しかし、インキュベーションマネージャーの中には、官庁の職員が研修に行ってその資格を持ち、インキュベーション施設で働いている人もいます。
経営経験、ましてや起業経験が無い人が、講習を受け研修をしただけで、起業家にどんな指導が出来るのでしょうか!
建前論だけ話して指導するのでは意味がないどころか、時には害になります。
この稲盛さんの「知識より体得を重視する」を読んでこのことが特に気になりました。