それは「34丁目の奇跡」というサンタクロースと称した人の物語。
雪も無くなり、やっと春が来たのにいまさらサンタクロースでまあるまいと思ったのですが、薄い本なのでアッという間に読んでしまいました。
この本は既に読まれた方も多いかと思います。
60年以上前に、ニューヨーク34丁目のデパートを舞台にし、世界中に感動させた映画のもとになった本です。
そのあらすじは、ある老人ホームにクリスという名の、自分をサンタクロースと信じている老人が主人公です。
アルバイトで始めたデパートのサンタクロース役が本当のサンタクロースの様で大評判を呼び、人々の優しさを引き出し、奇跡を起こす物語です。
アルバイト先であるメイシ―百貨店で、子供やお母さん達からプレゼントの相談を受けた時、メイシー百貨店にない物は、例えライバルであるギンベル百貨店でも教えてしまう。
なぜだかクリスは、おもちゃはどこにあるかがすべて分かっているのです。
その行為が問題になりそうな時、お母さん達からライバル会社であるにもかかわらずお客様のために情報を提供してくれるという「本物のクリスマス精神ですわ!」という多くのお礼のメッセージが届けられました。
そのお客様のためならライバル百貨店の商品でも紹介するという行為が、新聞で評価され、メイシ―百貨店社長は喜びます。
また、そのライバルであるギンベル百貨店の社長は「メイシー百貨店は今やモテモテだ。お客様第一の親切な店ということでね! すると、うちのイメージはどうなる? 儲け第一のがめつい店だ! 負けてはおれん! 今後は、お客様のご希望の品が切れていたら、メイシ―百貨店にお出で下さいと申し上げろ!」とはっぱをかけます。
親切の連鎖の始まりです。それが新聞・雑誌、コメディアンのネタにまで取り上げられます。
ライバル関係である宝飾店のティファニーとカルチェの間でも同じような現象が起きます。
人の「善意や優しさの連鎖」が奇跡を起こす物語です。
この本の最後は、この主人公はサンタクロースを称したため、精神異常者にとして裁判にかけられますが・・・
3月11日起きた大災害に日本中、世界中の人が救援の手を差し伸べています。
そしてそこにも同じような「善意と優しさの連鎖」が起きています。
結果、きっと日本でも奇跡が起きるのでしょう。そう信じます。
この本は季節外れの本でしたが、私には的を得た、考えさせられる本でした。