宅急便を創り出したヤマト運輸の社長だった小倉昌男さんが書いた「経営学」の中の一説を紹介します。
宅配でお客様訪問したが不在でお渡しできない時の対応についてです。
「ヤマト運輸の社員の方からすれば、せっかく配達に行ったのにお客様が留守で渡せなかったのは、お客様が悪いのだと思っている。
だが、本当にそうだろうか。
お客様の言い分はこんな風ではないか。
1日中留守だったわけではない。
たまたまお使いに出ていた間にヤマト運輸が配達に来たのだが、30分後には帰ってきて、その後は1日中家にいた。
だから、留守の時に来たヤマト運輸が悪いのだ。
こうなると両者の言い分が全く違うのは当然である。
私は思った。サービスを供給する者の論理と、サービスを受ける利用者の論理は、正反対の場合が多い。
供給者はとかく自分の立場に立って考える。
つまり、自分の都合を中心に考えるのである。
でもそれは間違っていないか。
その考えから不在対策でなく『在宅時配達』という考え方に切り替えたのである。」
サービス関連の会社はほとんどが「お客様第一」という看板を掲げています。
それでいて実際はお客様の立場より供給者の論理を優先しがちです。
小倉さんのこの本には「お客様の立場優先」「利益よりサービスが先」という考え方がベースになっています。
だからこそ、当初誰もが失敗すると思われた宅配事業を小倉さんは一大産業に創り上げることが出来たのです。
現在はその再配達が宅配会社の大きな負担になっています。
今度は供給者側の宅配会社ばかりでなく、受ける側のお客側も自費で宅配ボックスを設置する等、双方によるサービスの維持という現象が起きています。
それは新しいく面白いサービスの動きだと思い、注目しています。