78項「ものごとをシンプルにとらえる」です。
稲盛さんは次のように書いています。
「私たちはともとすると、物事を複雑に考えてしまう傾向があります。
しかし、物事の本音を捉える為には、実は複雑な現象をシンプルにとらえ直すことが必要なのです。
事象は単純にすればするほど本来の姿、すなわち真理に近づいていきます。
例えば、一見複雑に見える経営というものも、つきつめてみれば[売上を極大に、経費を極小に]という単純な原則に尽きるのです。
京セラの[時間当たり採算制度]も、この単純化してものごとをとらえるという考え方をベースにしています。
いかにして複雑なものをシンプルにとらえ直すかという考え方や発想が大切なのです。」
また、稲盛さんは技術者としての観点で続けて書いています。
「技術者は実験をした時、その現象の中から本質的なもの真理をつかみ取ろうとするものです。
それが発明、発見につながります。
実験をしていれば複雑な現象が起こります。
その現象をそのままにしないで、その源は何かを見ていくことが必要なのです。
エジソンのような有名な技術者や科学者は複雑な現象をシンプルにとらえる直感力というか、分析力を持っていると思います。
会社の中で社内会議でも『これは複雑な話です』と言って、複雑な話をより複雑に説明する人がいますが、これはダメです。」
私も本を読んでいて感じることがあります。
翻訳本で多いのですが、書いてある中身が何度読んでも分からないというものがあります。
本の中身が深いもので、私の理解力が及ばないということもありますが、それにしても「もっと簡単に書けないか!」と思うこともあります。
稲盛さんはシンプルに見る為にはどうすればいいかということも書いています。
それは心を静めることだと言います。
「雑駁な感覚では、複雑な現象をシンプルにとらえることなど出来ません。
「心眼を開く」と言われるように、落ち着いた目でものごとを見ると、その神髄が見えてくるのです。」
確かにそうかもしれません。
経営する時、基準を損得で判断しようとすると、複雑な絡み生まれてきます。
正しいか、そうでなきかで考えるとシンプルに判断できます。
稲盛さんは最後に
「会社でも経済界でも、また政治の世界でも、リーダーとなれる人は皆、物事をシンプルにとらえる才能を先天的に持っている人だと思います。
またそうでなければリーダーにはなれないと私は考えています。」
以上で京セラフィロソフィは終了しました。
この勉強会は時期を見てまた再度開催したいと思っています。